RutsuRoots

「考えすぎ」と「考えなし」が同居している。

Summicron-R 50/2をプチ修理した話

まさかレンズの紹介より先に修理を記事にするとは思わなかった……。

Summicron-R 50/2は自分のお気に入りのレンズで、ずっとカメラにつけたまま愛用しているのですが、最近絞り環にガタつきがあったので直してやろうと考えたのが事の始まりです。 

f:id:shibarutsu:20181206153800p:plain

当該レンズで撮影した写真

______________

絞り環がガタついているのは、それを押さえているマウントの取り付けの甘さが原因だと踏み、マウントを一度浮かせて真っ直ぐに締め直したところ見事ガタつきは軽減されて無事作業は完了。

 

 

 

 

......と思っていたのか?

それだけでは終わらなかった。

 

絞り環を回してみるとクリック感が失われており、指に伝わるのは実になめらかなフィーリング。うん、明らかにおかしい。

 

このレンズの絞りはF2,F2.8,F4,F5.6,F8,F11,F16の刻みでカチカチと止まるようにできているのですが、どうやら何かが原因でそれがなくなってしまったようです。

もう一度浮かせて取り付けても結果は変わらず、しばし黙考。

 

f:id:shibarutsu:20181206143444j:plain

バラされたマウント部

 

修理屋のサイトにちょこちょこ分解・組立の説明があることは知っていたので、そこを訪れるとビンゴ。クリック感は絞り連動環に乗せたベアリングの球が、マウントの裏に並べて配置されたくぼみに嵌まることで実現されているとの情報を入手。

 

勘のいい人ならもうお気付きのはず。

……ベアリングの球と言う時点で嫌な予感しかしない。

 

f:id:shibarutsu:20181206145111j:plain

左下に並んでいるのが件のくぼみ

 

______________

案の定、床を探すと直径1mm程度の金属球が。勝った。

 

f:id:shibarutsu:20181206142953j:plain

戦犯

 

せっかくの機会なので、ついでにメンテナンスも。

いかんせん60年前のレンズなので内部に緑色のカビがはえており、それらと経年劣化した塗料&グリスのゴミを取り除き、外装を拭くと多少綺麗になりました。

さて、ここから元通りに戻していきます。

 

f:id:shibarutsu:20181206144838j:plain

 

まずは、ベアリングの球を連動環のくぼみに乗せて……

 

f:id:shibarutsu:20181206145005j:plain

 

マウントを取り付けて……

 

f:id:shibarutsu:20181206145211j:plain

 

カバーをつけて……

 

f:id:shibarutsu:20181206145305j:plain

 

元通り!!!!

クリック感が戻ってきて、絞り環のガタつきも、隙間から覗くカビも無くなりました。

一時はどうなることかと思いましたが、まさに塞翁が馬。

 

今回は摺動部へのグリスの補充とレンズ内部のゴミ除去はしませんでした。前者はいずれ適切なグリスを入手したときにやってあげたいと考えていますが、後者は光軸の調整ができないため、今後余裕ができれば業者に依頼するつもりです。(多分無理ですが)

 

 

f:id:shibarutsu:20181206144504j:plain

 

内部に製造時のメモが残っていました。手書きの字が、60年前確かにこのレンズを組んだ人がいることを実感させてくれます。自分がまだ生まれていない過去に思いを馳せてみるのも、こういった古い物を使う楽しみのひとつですね。

 

当たり前ですが、素人修理はほぼ博打みたいなものなので真似しないでください。素直にカメラ屋さんに持っていきましょう。私も冷や汗かきながら作業したので...!

約束ですよ!